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概要

マーチング通信41号

第41号:平成27年(2015年)11月15日日曜日隔月発行3気取らない歴史が作る雰囲気まで食べる「すき焼」「すき焼江知勝」店主海津勝哉さん風情ある落ち着いた佇まい「実はときどき、長く続く秘けつを聞かれるんです。それで、いつの間にか続いていたんですよ、とお返事するとたまに怒られちゃう」気さくに笑うご主人は六代目。昭和27年に建築された店舗は老舗にふさわしい落ち着いた雰囲気ながら、一歩中に入ると、懐かしく肩の力が自然と抜けるような空気に満ちています。「鍋はみんなでわいわいと楽しく騒ぎながら食べるもの。それを店側がかしこまって気取っても仕方がないんです」だからゆるくいきたいという性格は、代々元来の気質。「なにしろ初代が米を担いで江戸に出てきた人なので、代々、気張らないんですよ」140年近い歴史を持つ江知勝の初代は、江戸時代の終わり頃に江戸に出て米屋を営んでいました。そして文明開化の頃、すき焼の大流行に先駆けて開店しました。「江戸時代も米屋の裏でこっそり肉を扱っていたようですが、明治になってすき焼にすればもっといけるんじゃないかと店を始めた、ということになってます」いたずらっぽく話を付け加えるとすれば、戦争の中にその歴史がありました。江知勝は一度、戦火に見舞われて資料がほとんど消失してしまいました。そのため、五代目が残された資料から歴史を調べたものを店のパンフレットにも掲載しているのです。「五代目からは好きなことをやれと言われて育ったので、老舗を背負っているという気負いは今もありません。時代の波の上げ下げはありますが、なにがあってもなんとかなるさという気持ちでのんびりやってます」そんな気張らない気質の江知勝ですが、提供する肉選びは徹底しています。「産地にはこだわりません。おいしい肉であること、ただそれだけです。だからたまにですが、東京都産の牛が入ることもあるんですよ」昭和27年の営業再開以来取引を続ける肉問屋から、肉専門の板前が黒毛和牛A5ラ目利きが選んだA5ランクの国産黒毛和牛お肉に相性の良いお酒の数々ンクの中ですき焼に一番適した肉を選びます。実は店舗に専従する肉専門の板前はとても珍しく、江知勝では肉の目利きだった四代目が五代目と相談して、すきやきの肉専門の板前を入れたのが始まりだそうです。店の肉を選ぶ板前の松井さんは「この店は肉に徹底的にこだわっている、本当においしい肉が食べられる店なんです」と真剣なまなざしで語ってくれました。湯島で140年続くすき焼の名店。鍋を囲み肉をつつき、話し込む、ほんのり甘い割り下のような気取らない時間が漂っていました。すき焼江知勝〒113-0034湯島2-31-23TEL. 03-3811-5293FAX. 03-3811-7417営業時間: 17:00~21:30(L.O.21:00)定休日:日・祝・8月の土曜▼動画が見れます。マーチング通信http://www.news.yushima-hongo.net/ゆったりと時が流れる風情ある和室昔ながらの中華料理と出会える場所でありたい「中華料理本郷天慶」店主堀田さん??チャーハンが人気と聞きますが、看板料理というとなんでしょうか?堀田さん料理の動画をインターネットにアップさせているお蔭で、チャーハンも人気ですが実は看板料理と銘打っているものはありません。天慶の看板料理はさまざまな意味を込めて「昔ながらの中華料理」です。僕らが子供の頃、中華料理はなにも言わなくても「ごちそう」でした。なにか特定のメニューではなく、中華料理と言われたらおいしいものが食べられるぞという期待が自然と沸いてくる。そういう意味で、子供からお年寄りまでなにを食べても「おいしい」と思ってもらえる、「昔ながらの中華料理」を提供できるお店を目指しています。??一番こだわりのポイントは?堀田さんとにかく仕込みです。やはり最近では揚げるだけ、炒めるだけでも美味しくなるような便利な食品も出回っているんですが、当店は丁寧に手作業で、昔ながらの手仕込みにこだわっています。どうしても時間がかかってしまいますが、やはり素材は季節やその日の状態でも具合が変わるので、この道40年以上の親方が毎日手塩にかけて仕込んでいます。これもすべて「中華料理はごちそう」という視点からのこだわりです。??すべて親方の仕込みなんですね堀田さんそうなんです、すべて「親方」に任せています。私がすることは、お客様とお話ししながらいろいろと提案すること。元々独立を視野に入れて修行を始めましたが、親方と出会ってほれ込まなかったら今の天慶はなかったと思います。前のお店で5年一緒に仕事をして、この人とならと思ったのが独立に踏み切ったきっかけでした。二人で「手頃な値段でおいしい中華料理が食べられる店」を目指して開店させて頂きました。??「親方」はどういう方なんでしょう?堀田さん男気のある人です。独立するとき、なにも聞かずに「よし、やるか」の一言で一緒にやることを決めてくれました。とてもきれい好きで、若い職人への面倒見もいい、とにかくバランスのいい人なんです。ただ、食材が管理できない若手には厳しいですね。そういう意味でも一本気のある職人です。??天慶という名前の由来は一体なんでしょう?堀田さん料理の材料はすべて天からの恵みですから、最初は天の恵みで天恵にしようかと思ったんです。しかし恵みという字は良い字ですが中華料理店の看板に置くにはバランス的に字画で悩みました。意味を保ちながらなにか良い字はないかと調べた中で、慶という字がしっくりきて「天慶」と名付けたんです。特別な日も、そうでない日も、中華料理を食べておいしかったと思って欲しい。笑顔の中に強いまなざしで語る堀田さんと親方の「天慶」はあの日の中華料理にいつでも会える、そんな店でした。中華料理本郷天慶〒113-0033本郷3-5-2宇佐美ビル1FTEL. 03-5844-6995FAX. 03-5844-6996営業時間:11:30~14:00(土曜日14:30)17:30~22:00(L.O.21:00)ランチ営業定休日:日曜日シックで洗練された店内▼動画が見れます。マーチング通信http://www.news.yushima-hongo.net/天慶の文字が入った赤いちょうちんが目印