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概要

マーチング通信37号

第37号:平成27年(2015年)3月15日日曜日隔月発行1ウォーカープラスWalker Plus「地域トピックス」からも地域の情報を発信!!No.37医療機器の本郷にある医学書出版の老舗、医学書院医師・看護師向けの教科書から先端分野の電子書籍までを幅広くカバー株式会社医学書院代表取締役社長金原優さん医療機器企業が多く集まる本郷に医学書の老舗の出版社があります。昨年創立70周年を迎えた医学書院。医師や看護師が学生時代に必ずお世話になった教科書も出版する最大手の医学書専門出版社です。――医療と出版の本郷でその両方を兼ねていらっしゃるわけですね。金原さんもともと幕末に大工になった先祖が湯島で質屋を開業し、そこで質草に外国の医書が出るのに興味をもって始めた書籍商が原点です。大工から出版に3段跳びしたわけですが、モノづくりの精神は同じかもしれません。いま全国に80の大学医学部・医科大学がありますが、そのうち東京に13校、本郷周辺に名だたる4校があって、専門書の出版業を営むうえではまたとない環境でした。当社の医学専門書のカバーする領域は、医師、歯科医師、看護師・准看護師、薬剤師、保健師、助産師、歯科衛生士・歯科技工士、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士・視能訓練士などで、市場は合計でも300万人足らず、全人口の3パーセント未満です。――特に強みのある分野はどこですか。金原さん学生が必ず目を通すのは教科書ですが、これは内科、外科、耳鼻咽喉科、眼科等、診療科目ごとにそろっています。最近の学生は本を読まなくなったと言われますが、医学部の授業でも先生が配布したプリントや教授指定の教科書が中心となっています。スタンダードな教科書はどちらかというと学生の自習用として使われるケースが多いですね。当社の教科書が特に強みを発揮するのは看護学です。こちらは50パーセント以上のシェアをもっています。医学部教育と異なり、看護学校では学校が指定した教科書を学生が全員購入するので、その額も大きくなります。ただ毎年同じ教科書を採用してくれるとは限らず、全国的な販促活動は欠かせません。医学部を卒業して国家試験に合格すると研修医となってさらに勉強するわけですが、その間に読む本、ベテランの医師になってからも研鑽を積むために読むべき専門書や専門誌も当社では多数充実させています。――進化の著しい医療分野の本の編集は大変ではないですか。金原さん話題のiPS細胞とか、最先端の基礎医学を実際の医療に役立てるまでにはまだ相当なステップが必要です。いま作らなければならない本はこれまでの実績を次世代に伝えるためのもの、ですから臨床系が中心になりますね。教科書は概ね4年ごとに改訂しますが、新たな企画というと、1944(昭和19)年、当時の医学書院・創業社屋のエントランス左:「看護学雑誌」創刊号表紙右:口絵-太平洋総合軍総司令部看護婦課長代表取締役社長金原優さんたとえばキャリア20年の医師向けには脳腫瘍の最新治療法の本を作るといったことになります。当社では、当社の編集者と大学や病院の指導的立場にある先生方が午後6時頃から編集会議を行うというのが通常のスタイルです。医学書の編集者は医学知識が豊富でなければいけないと思われがちです。門前の小僧で普通と比べればもちろん知識は豊富ですが、基本的に求められるものは文字をいかに分かりやすく読ませるかたちに整えるかといった一般の編集者と同じ資質です。先生方は午後の授業や手術を終えて会議に出席します。読者、といっても同じ医師ですが、いま求めている知識をどういうかたちで表現していくのが一番ふさわしいか、企画会議が深夜におよぶことも珍しくありません。なによりいい本を作るために、当社は有能な先生方と密にコンタクトを保っていくよう心がけています。――電子書籍への取り組みはいかがですか。金原さん今後、電子出版物は非常に有望な市場なので当社も積極的に取り組んでいるところです。膨大な量の情報をいつで※No.34よりマーチング通信をご支援頂いている皆様の広告を4ページに集約させて頂きました。今後は益々の紙面の充実を行って参ります。